デザイナーが動画編集・アニメーション・音楽制作などマルチスキルを身につけるべき理由

エイジ
デザイナーとしてひとつのスキルを極めることも大切ですが、今の時代を生き抜くためにはそれだけでは足りません。デザインに関わる様々なスキルを横断的に身につける事が肝要です。

近年のクリエイティブ業界では、デザイナーやイラストレーターの役割がますます広がっています。

単にビジュアルを作るだけでなく、動画やアニメーション、BGMや効果音まで一貫して制作できる“マルチクリエイター”が求められる時代です。

実際に私も美術系学校のグラフィックデザイン卒業しAdobeのIllustrator、Photoshopを身につけたのですが、その後CAD系ソフト、さらにAfter effect、Clip studio、blenderを実務の中で身につけ、趣味で音楽ソフトLogic Proも覚えました。

この記事では、デザイン以外のスキルを増やすことがなぜ重要なのか、そのメリットや始め方を解説します。


 

1. クライアントのニーズは「ワンストップ化」へ

制作管理に手間がかかるため発注側はなるべく一人、または一つのチームで仕事を完結させたいと考える傾向があります。

そのため様々な業務カテゴリーに対応できる制作事務所に発注することが多いのです。制作事務所は社内対応できることは行い、それ以外は外注します。フリーランスの方はここで下請けとして業務を受注できますが予算はかなり絞られた上での受注となり売上は頭打ちになってしまいます。

しかしあなたが動画や音楽までワンストップで対応できるとなればどうでしょう。クライアントも制作事務所を通さずにあなたへ業務を直接発注できるため便利であることは間違いありません。

何よりデザインは動画やアニメーションとはとても親和性が高い。例えばとある商品のロゴとチラシをあなたがデザインしたとします。次に来るのはプロモーション動画です。さらにはその動画の背景で流れる音楽までも仕事としては発生します。

例:広告バナー制作 → 動画広告用アニメーションまで対応
例:Webデザイン → サイト用のPVやBGMもセットで提案
例:商品ロゴデザイン→CMの企画からPV動画制作、Web制作

こうした「セット提供」が可能になることで、クライアントは別途外注先を探す必要がなくなり、ライバルも減り、信頼度もアップします。


 

2. 収益源の多様化が可能

フリーランスがデザインの業務を受注する上で仕事の多い時期、少ない時期はどうしても出てきてしまいます。それにより固定費などの支払いに影響を及ぼしてしまう事もあります。

特にスキルが一つだけだと、案件が減ったときの影響も大きくなりがち。

ちなみにデザイナーという職種は取得しなければならない資格などが無いため誰でも簡単に始められる仕事なので、仕事の競争率はとても高いです。また昨今はAIの進化もありデザインという仕事に対してクライアントも以前ほど予算を割かない傾向にあります。

このような背景の中、デザインのスキルのみに特化するのは余程の知名度と実績が無ければ、なかなかに厳しい選択と言えるでしょう。

そのため一つでも多くのスキルを身につけて業務の幅を広げることはとても大切な事なのです。

複数スキルを持つことで、収入の柱を増やし効率よく安定して稼げるクリエイターを目指しましょう。

◎デザインがメインの時期もあれば、動画編集の案件が多い時期もある
◎動画編集や音楽制作の仕事から本職のデザインに繋がることもある
◎音楽や効果音制作、ミュージックビデオ制作は、YouTubeやゲーム分野などから幅広いニーズあり

スキルを増やせば業務を受注する入り口が増えるためクライアントも依頼しやすく、あなた自身も臨機応変に営業しやすくなります。

もちろん複数ジャンルに対応できれば、仕事の波にも左右されにくくなります。


 

3. 表現力が飛躍的に広がる

動画や音楽は、静止画だけでは伝えきれない世界観を表現できます。

マルチスキルを持つことで、作品の完成度や説得力が大幅に向上します。

例えば、あなたがデザインしか受注できなかったとしてもマルチスキルを身につけていれば動画で動かすことも視野に入れながらデザインできるため、次の展開として動画編集の仕事が発生した場合にも堂々とその仕事に手を挙げることができます。音楽もまた然りです。

マルチスキルを増やしていくことは部分的なデザインのみならずクリエイターとして総合的な提案が可能になるということなのです。

◎アニメーションで動きを加えることで、情報や感情の伝達力が倍増
◎BGMや効果音は、デザインの印象を補強する重要な要素
◎静止画からストーリー、動画、音楽まで広がる総合的なクリエイティブへ

結果として「見せたい」「感じさせたい」意図をより正確に届けることが可能なのです。


 

4. スキル習得が容易になっている

こうしたマルチスキルですが、身につけるのが難しいということで躊躇しているクリエイターは多いと思います。

しかし以前は専門学校などに通い高額な費用を払って見つけていたスキルも、今はオンラインで気軽に学べる時代です。

特にシェア率の高いクリエイティブツールなどならyoutube動画でも基礎的なことは身につけることも可能です。

またAIツールの進化も、スキル取得のハードルを下げていますね。

◎無料〜低価格のソフトやアプリ(例:DaVinci Resolve、Blender、GarageBand)
◎YouTubeやUdemyなどのオンライン講座
◎AIアニメーションや音楽自動生成サービスの活用

このように今は、短期間かつ低コストで基礎を習得できる環境が整っているのもマルチスキルを身につける上で追い風となっています。


 

5. 競合との差別化につながる

デザインスキルを身につけているクリエイターは珍しくありませんが、それに加え動画・音楽まで作れるクリエイターは実はまだ少数です。

これは私が日々デザインの仕事でフリーランスの方とのお付き合いしてる中での統計にはなりますが、イラストの描けるデザイナーはそこそこ(10人中、5人)。動画編集のできるデザイナーは少なめ(10人中、2人)。音楽制作の出来るデザイナーは希少(10人中、1人)。ちなみに全部できるという人は0人です。

これはマルチスキルを増やすほどに希少性が高まり、競争力も向上するということです。仕事を取る上でめちゃくちゃ便利ということですね。

もしあなたが将来的に独立したい、会社を作ってスタッフを雇いたいと思った時にもマルチスキルを身につけていれば、技術を継承することも可能ですね。

◎コンペやポートフォリオで「この人に頼めば全部できる」と印象付けられる
◎SNS発信や作品集の幅が広がり、自己ブランディングにも有利
◎フリーランスから会社を立ち上げた時もスタッフに技術を継承し分業できる

まとめ

デザイナーがデザイン以外のスキルを身につけることは、仕事の幅を広げ、収入を安定させ、表現力を高めるという三拍子そろった投資です。

特に動画編集・アニメーション・音楽制作は需要が高く、オンライン環境でも学びやすくなっています。

これからの時代は「一つの武器」だけでなく、「複数の武器」を持つことが、クリエイターとしての生存戦略になることでしょう。